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最近は,主に認知症に関連するテーマについて研究しています。
認知症治療病棟に入院した認知症のある人とその家族、支援者らに効果的な退院支援の研究をしています。2016年から,事例を通した退院支援プログラムの実践(事例研究),自宅退院に影響を及ぼす原因の検討(ケースコントロール研究),退院支援プログラムの効果検証(コホート研究)を行ってきました。
2022年度は本邦の認知症治療病棟における退院支援実態をアンケートを用いて調査し、その結果をもとに、暫定版の退院支援プログラムを改変しました。さらに2023年度はこのプログラムを,臨床現場で実装し,プログラムが及ぼす影響を検討しました。2023年度の卒業研究では,学生と一緒に分析を行いました。
現在分析途中ですが,プログラムを用いて介入した事例は自宅へと退院し,日常生活能力を維持し,認知症の行動?心理症状は改善する傾向を示しました。2025年度はこれまでの研究で得られたデータの分析を進めていく予定です。
認知症があっても(無くても)住み慣れた場所で活き活きと生活する…,そのために入院医療の立場から作業療法士として何ができるか…という,臨床で働いている時に沸いた問いから発展した研究です。
認知症のある人の意味ある作業を見つけたい,作業の意義や成果を示したい…を実現する評価ツールの開発と臨床応用の研究をしています。
*A-Qoaでは一般的な理解を重視し「作業」ではなく「活動」という言葉を用いています。またクライエントにとって本当に意味がある作業と言えないものを選んでしまうこともあることから「活動の質」を見ることでよりよい「作業」になるよう願いを込めて「活動」という言葉を使っています。
事例を通して,活動の特定,介入(支援)のポイント,実践した成果,活動が生活に与える影響等について検討します。また客観的評価であるA-Qoaが,クライエントの主観的Well-Beingを測ることができるのかについても,事例を通して検討しています。
2022年度の卒業研究では,会話回想法と遊び回想法における活動の質の違いについてA-Qoaで検討しました。認知症カフェを利用する皆さんの協力を得て,学生たちと一緒に回想法をして,データを収集し分析しました。会話のみの回想法と比較して,遊び回想法の方が,認知症のある人の活動の質が高いことが分かりました。
2024年度の卒業研究では,支援者によるA-Qoaの学修が活動の質に与える影響の検討をしています。地域在住の認知症のある方と,本学学生の協力を得て,A-Qoaを学習する前後で活動の質が変化するかについて研究しました。学修後は,対象者の方の活動の質が向上する傾向を示しました。
2025年度の卒業研究では,この評価が発達領域においても活用できる可能性を探索しています。地域で活躍する発達領域の作業療法士の協力を得て,作業療法士の主観的良い感じとA-Qoaの客観的良い感じは相関関係にあるのかを調べています。
●統合失調症の人に対する認知機能リハビリテーション
これまで認知機能に焦点を当てた認知機能リハビリテーションの実践により,一定の認知機能向上の効果は報告されています。クライエントのニーズをもとに,実際の生活における遂行技能および社会交流技能などをアセスメントし,認知機能ではなく生活や自己認識の変化をアウトカムにした作業療法士の視点を生かした認知機能リハビリテーションの効果検証をしてきました。
●コロナ禍が小学生や中学生の児童を養育する保護者に与えた影響の検討
●放課後等デイサービスを利用した経験のある青年中期以降のお子さんを養育する保護者のニーズ調査
●地域在住高齢者を対象とした介護予防教室の実践
などもこれまでに取り組んできました。
以下は,主な執筆書籍です。
西田?坂本ゼミとして,学びを深めています。
<2025年度ゼミ生卒業論文テーマ>
<2024年度ゼミ生卒業論文テーマ>
<2023年度ゼミ生卒業論文テーマ>
<2022年度ゼミ生卒業論文テーマ>
<2021年度ゼミ生卒業論文テーマ>