2025年(澳门皇冠7年)3月 卒業生に贈る言葉
「人間、希望が持てないと、努力なんてできませんよ」
3月27日の朝、家で作業をしていると、吉本先生から思いがけないメッセージが届いた。
「突然ですが、小平先生が今日明日こっちにおられるということで、一杯やりませんかとお誘いしたところ、今日であればということになりました。なので18時から一張羅で、となったのですが、もしも参加していただける人がいればと思ったのですが、どうですか。」
2024年3月末日をもって定年退職を迎えられる小平先生は、4月からは広島を離れ、ご実家のある長野県で過ごされる、と聞いていた。それで、是非とも送別会をしたいと思っていたのだけれど、なかなかタイミングが合わず、難しいかなと諦めかけていたところに、吉本先生から嬉しい連絡が届いたのだった。
じっくり話せるからワンテーブルが良い、という(吉本先生の)ご判断があったのか、参加者は上の3人に向居先生を加えた4人だった。18時に入店し21時半に散会となったのだが、その3時間半は実に濃密で豊かな時間だった。
このとき、小平先生は、実に様々な話をしてくださったのだが(小平先生の熱弁と涙を、僕は生涯忘れないだろう)、最も強く印象に残った言葉のひとつが、「人間、希望が持てないと、努力なんてできませんよ。」である。ウクライナやガザの惨状に触れ、「人類に希望はあるのか、希望があると思えなければ、人間は努力できない。学生に努力しろ、と言うこともできない」―そういうお話だった。
「希望が持てなければ努力できない」。この言葉を、僕は、この1年間、ずっと考え続けたし、きっと、生涯を通して、考え続けるのだと思う。たとえば、猫も杓子も口にする「SDGs」に貢献する/できることは、希望に、人生の目的や目標に、生きる意味に、なるだろうか?
(※余談だが、吉本先生が仰った「SDGsってなんですか?」は名言だと思う)
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小川ゼミOBの八倉康介君は、大学卒業後、複数の職を経験した後、会社を立ち上げて社長として活躍している。その彼が、昨年の7月5日、「ライフデザイン」の授業に外部講師として招かれた。2143大講義室で、八倉君は、「自分の起業の理念は、自分の周りにいる人たちを笑顔にすることです」と後輩に向かって語りかけていた。そして、「それが起業/会社の目標であり、自分の生きる意味なんだと思っている」とも。
卒業する皆さんに聞いてみたい。皆さんは、希望を持って、これから社会に巣立っていくのだろうか。理想に燃えているだろうか。夢があるだろうか。皆さんの希望、理想、夢は、何? それを、聞かせてほしい。
では、小川にとっての希望は何か? それは、伸びよう、伸びようと懸命に努力する学生の人生に触れること、そして叶うなら、その学生の人生に貢献すること。それが僕にとって、この複雑な世界を生きていくうえでの希望であり、目標です。
今年は、本当にゼミ生に恵まれて、幸せでした。感謝するばかり。
小川俊輔
2025年(澳门皇冠7年)2月吉日